★エコキュートについて
・エコキュートは多くの人がその名前は聞いたことがあると思います。エコキュートとはエコロジー+給湯器、
自然環境を利用した給湯器です。その自然環境とは空気です。空気の熱を利用してお湯を沸かします。
「エコキュート」=「家庭用自然冷媒(CO₂)ヒートポンプ給湯器」
☆水道からお湯がでるには・・・?
・生活に欠かせないお湯ですが、水道の蛇口から出てくるお湯は給湯器によって、水をお湯に変えています。
給湯器は「ガス」「電気」「石油(灯油)」のいずれかの燃料を使用して水を沸かしてお湯に変えて供給する
器具です。
・キッチンに取り付けられているガス瞬間湯沸かし器のような取付が比較的簡単なものから、商業施設で使われる
大型のものまでいろいろとあります。
・一般的には「ガス」が多いですが、オール電化住宅では、電気給湯器になります。灯油を燃料とする石油給湯器
は、お湯をたくさん使う寒冷地や商業施設などで利用されています。
・良く知られている「瞬間式給湯器」は水が通っているパイプをガスや電気を使用してバーナーやヒーターで
パイプの中の水を加熱してお湯にしています。これは使うたびにガス代や電気代がかかってくるものです。
・次に普及率の高い給湯器が「貯湯式給湯器」です。これは電気料金が昼間より安い深夜にお湯をまとめて
沸かしてタンクにためておき、使いたいときにタンクから供給されます。
☆電気給湯器のしくみ
・電気給湯器には「電熱ヒーター式」と「熱交換式」の2種類があります。
「電熱ヒーター式」・・・電気を使用してヒーターで水を温めるシステムのことで「電気温水器」といいます。
「熱交換式」・・・現在は一般的に「エコキュート」です。
・両方ともオール電化住宅で用いられており、各電力会社との契約内容で異なりますが、深夜の安い電気を
利用してお湯をつくり、給湯タンクにためる貯湯式です。
※電気温水器とエコキュートはどちらも電気を利用しますが、違いは仕組みにあります。
☆電気温水器とエコキュートの違い
・電気温水器もエコキュートも、深夜の電気を利用してお湯を沸かしますが、電気温水器のエネルギーは
電気だけに対して、エコキュートは電気+空気中の熱を利用します。そのおかげで、電力消費量が約1/3で
済むのです。エコキュートはエネルギー資源を大切にしながら、それに伴う経費節約もできる効率の良い
電気給湯器です。
☆エコキュートのしくみ
・エコキュートは「大気(空気全体)の熱を使ってお湯を沸かす自然冷媒ヒートポンプです。
①空気中の熱エネルギーをヒートポンプユニットのファンから空気熱交換器へ取り込みます。「0℃=熱がない」
と思われがちですが、熱エネルギーが最低の状態になる温度は-273℃です。つまり0℃でも熱エネルギーが
存在するのです。外気温が低いからお湯が作れないということはないのです。例えばパナソニックの寒冷地向け
エコキュートは外気温-25℃で、約80℃のお湯が作れるそうです。
②取り込まれた熱エネルギーは自然冷媒と呼ばれるガス状の物質に吸収され、集められて圧縮機に運ばれます。
空気中にある熱エネルギーもそうですが、この冷媒も自然界にある物質なので、両者ともに無料で毒性も
ありません。
また、冷媒には様々なものがありますが「エコキュート」では自然の二酸化炭素(CO₂)を使用しています。
加熱能力に優れており、それでいて可燃性がないので安全に高温沸き上げ、高温貯湯ができます。
③冷媒が吸収した熱エネルギーは電気の力で圧縮機で圧縮され、さらに高温になります。原理は気体を圧縮する
事で分子同士が激しくぶつかり合い熱エネルギーがより大きくなるのです。温度が一番高くなったところで
次に水熱交換器へ運ばれます。圧縮機で電気の力が必要になりますが、この電気をエコキュートでは電気料が
安い時間帯で使用するので、節電になるというわけです。
④水熱交換器ではその熱を水に伝えてお湯を沸かします。一般の水熱交換器は水の管の周りに熱の管(冷媒管)
が巻き付けてあるので、水の管を外側から温めるために、せっかく作られた熱が逃げてしまいます。
しかし、エコキュートの水熱交換器には熱伝達法に工夫があり、水の管の中に熱の管(冷媒管)を入れ込み
作られているので、熱を逃がさず内側からすべての熱を活用してお湯にしています。これで熱伝達により
最高約90℃のお湯が作り出されるのです。
⑤作られたお湯は貯湯ユニットで貯湯されてキッチンや浴室で活用されます。エコキュートの貯湯タンクは
真空断熱材でしっかりと保温されます。ちなみに水熱交換器で熱を奪われた冷媒は、膨張弁で減圧され
温度を下げて再び空気熱交換器に戻って空気中の熱エネルギーを取り込み、熱を作り出すために圧縮機へと
運ぶ作業を来る返します。
☆夜間電力と深夜電力の違い(※各電力会社によりサービスは異なります。)
・電気料金プランは24時間の時間帯をいくつかに分けて設定し、各ご家庭の生活スタイルに合った料金プランを
選ぶことが出来ます。その中で、「夜間電力」「深夜電力」というサービスがありますが、両者の内容は
全く違うものです。また「夜の安い電気を使って・・・」という言葉も多いですが、どなたでも夜に電気を
使えば安くなるということではないのです。
★夜間電力とは・・・
・昼間、不在で電気をほとんど使わない場合、夜に集中して電気を使う方などがこのプランで契約をすると、
夜間の決められた時間内であれば、ご家庭で使用する電気に適用して料金が安くなります。
★深夜電力とは・・・
・夜間、蓄熱式機器を設置したご家庭が契約されていれば、夜間の決められた時間、エコキュート、
電気温水器、蓄熱暖房機、蓄熱床暖房などといった特定の機器に使われる電気に適用され電気代が安くなります
が、それ以外に使用される電気料金は通常料金になります。
※各電力会社でサービスプランは異なります。そして深夜電力プランはほとんどなく、このサービスプランも
ずっと継続されるものでもなく、なくなってしまうプランもあります。多くの電力会社のいろいろなプランを
比較して、ご契約されることが望ましいと思います。
☆エコキュートのメリット(利点)
・オゾン層を破壊する冷媒を使用しないで、家庭でのCO₂の排出も抑えることが出来るので、地球温暖化防止に
繋がります。
・夜間の決められた時間の電気料金が安くなるプランを契約して使用することで、光熱費の削減に繋がります。
・停電や断水時にタンク内の水を非常用水として使用できます。
・火を使用しないので、ガス器具からのガス漏れ事故などもなく、安心・安全です。
☆エコキュートのデメリット(問題点)
・貯湯タンクには容量があり、お湯を使いすぎると湯切れをおこします。
・ボイラー式給湯器と違い、タンクから蛇口までの距離が長いと、お湯が出るまでに時間がかかり、その間
お湯が出るまでの水が無駄になります。
・深夜に低周波騒音を起こす可能性があります。
・大型の家電になりますので、貯湯タンクを設置する場所の確保と、設置場所の基礎をしっかりしないと
地震や地盤のゆるみで傾いたり倒れたりする危険があります。
・電気エネルギーでお湯に変えるので、停電時はお湯を作ることが出来ません。
・ほかの給湯器と比べると割高になります。
・精密機器なので、故障すると自力で直すのは困難で、業者やメーカーに依頼することになります。
・空気の熱を利用するので、季節により冬場は効率が下がる為、光熱費が上がります。
※問題点は多いように感じますが、知っているかいないかで改善される内容も多々あります。導入されるご予定
がある場合は、以上のような内容も含めて商品の特徴やタンク容量などをご検討されることが望ましいです。
☆エコキュートの節約につながるポイント
①季節によってモードを使い分ける。
・メーカーごとについている「おすすめ省エネモード」に設定するのが一番節約になります。しかし、日中に
湯切れを起こし、貯湯タンクへの沸き増しが必要になると昼間に電気を使用してお湯を作ります。
昼間の電気料金は通常料金なので、電気料金が高くなります。冬場は特に昼間でもお湯を多く使ってしまい、
頻繁に湯切れを起こしてしまう場合は、「お湯を多めに沸かすモード」に切り替えて、湯切れをなくすことを
気にかける、逆に夏場はあまりお湯を使わないのであれば、「省エネモード」に戻すという、設定変更を
すれば、無駄な電気代を減らすことができます。
②自動沸き上げ停止をする。
・貯湯タンクの湯量が少なくなると、自動で沸き増しをします。本来、沸き増しは夜間に行うのですが、
貯湯タンク湯量が少なくなれば、日中でも沸き増しを自動で行ってしまいます。日中、もうこれ以上お湯を
使わないとわかっているならば、自動沸き上げを停止することで無駄な電気を減らすことが出来ます。
③ピークカット設定をする。
・ピークカット設定をすると、設定した時間帯はお湯が少なくなっても自動沸き増しをしません。
②と上手に使い分けることで、電気の使用量や時間帯を気にするようになり、その結果エコキュートに限らず、
家電全体の電気を気にするようになり、全体の節電にも繋がります。
④追い焚きよりも高温足し湯が省エネになる。
・自動保温や追い焚きよりも、高温足し湯にしたほうが節約になります。ぬるくなったお風呂のお湯は、循環
させてタンク内の熱を使うことで温めなおします。そのため、タンク内の熱がなくなります。
高温足し湯は、タンク内の熱いお湯をそのまま足すので、省エネになります。
⑤休止モードを使用する。
・数日間など、長期間家を空けるときは「休止モード」を設定して、エコキュートを休止させます。
水抜きなどのメンテナンスが必要となります。
まとめ
多くのメーカーから発売される商品はとても良い商品が多いですが、デメリットも存在し、「またこういう場合は
こうなります」という説明がとても少なく、実際使用して「こんなことになるの?」と困るお客様も多いです。
一番大事なことは、多くのことを知っておくことです。それぞれのご家庭の生活スタイル、家族構成などは
それぞれ違います。各ご家庭に合った商品を選ぶこと、使用状況をイメージすることで求めている商品に結び付き
ます。多くの機能を使えるようにすること、機器任せにしないことは必要です。その結果「選んでよかった」と
満足のいく形になります。提供する側が、お客様の立場で考えることもとても大切です。