住まい、生活の見直しの必要性【家の見直しを考えてみませんか?】
・日々の生活を送るうえで、住宅(家)とは一番心の休まる場所です。若き頃に建てた家、また住み慣れた家は
大切な空間であると同時に、月日とともに老朽化していきます。設備関連ではメンテナンスや新規購入を
検討し、内外装に関してはリフォームを考える方もいらっしゃると思います。
☆設備関連…生活に欠かすことの出来ない全ての設備機器のほとんどに寿命があります。日々のメンテナンスは
非常に大切ですが、内部の部品や基盤までは見ることができません。長く使えることは非常に
うれしいことですが、買い替えはどうしても発生してしまいます。
☆リフォーム…傷んでしまったところや、壊れてしまったところ、また生活する時に不便に感じることなど、
リフォームは非常に幅が広い内容です。
住環境のページでは、生活する環境をそれぞれの視点で考えることのできるページとして制作していこうと
考えております。その中でも重点的に取り上げたい内容は高齢化社会に視点を向けた内容です。
・総務省は日本の総人口を占める65歳以上の高齢者の割合が過去最高の26.7%になり、国内における80歳以上
の高齢者人口が1千万人を超えたと発表しております。つまり現在の日本では「4人に1人が高齢者」という
ことです。2035年(あと18年後)には総人口の占める高齢者の割合は33.4%になり、「3人に1人が高齢者」
という推計も出されています。(厚生労働省機内、国立社会保障・人口問題研究所より)
・年齢を重ねるにつれ、肉体的、精神的機能が衰えていきます。視力や聴力の低下に伴い、筋力低下による
運動機能の低下がみられるようになります。
1。今まで何事もなく上り下りしていた階段が億劫(おっくう)になる。
2。今までつまづいたことなどなかった敷居につま先が引っかかる。
3。座ったり、立ったりすることでさえ、不便さを感じる。
4。歩くこと、物を持つこと、運ぶこと、日々の生活でも危ない思いを経験する。
・生活のひとつひとつの行動に危険が潜んでいる状態です。転倒して骨折したことにより、寝たきりの生活に
なってしまうという事故は少なくないのです。また寝たきりにならなくても、今まで1人で出来ていた行動が
制限され、身支度や排せつ、入浴等を誰かの手を借りないとできなくなる可能性もあります。
・そのような不安や問題から少しでも解放され、健康で安心した日々を過ごすために、住まいの見直し、
生活の見直しを大切に考え、一緒に考え提案できることを目標に進めていきたいです。
現在の家族形態
今と昔では家族という形もさまざまに変化してきたと感じます。長男が家を継ぐ、長女が親の面倒を見る、
成人した子供が親と同居するなどという、昔では当たり前のように思えた事も、時代の変化によって変わった
と思います。夫婦とその子供だけからなる「核家族」が主な形態となっています。子供が就職や結婚で独立すると
親夫婦とは別の世帯になり、残された親夫婦のみの世帯は、その後悲しいですが、どちらかが先に天国に行き、
残された単独世帯は増加の一途をたどる状況となります。親との距離が近くても遠くても、「心配」という
気持ちが消えることはありません。
安心と喜びと希望を持てる生活
住みやすい環境を作り出すこと、それに伴う住宅の改修は多額の費用がかかってしまうと躊躇(ちゅうちょ)してしまうかもしれません。しかし多額の費用を掛けなくても、少しの工夫で改善できることはたくさんあります。
住環境を考える上で、最も大切なことは家族一人一人が今後の生活に安心と喜びと希望をもち、生活すること
生活意識を高く持っていくことだと思います。
大切な人を日々の生活に潜む危険から守るため、また自身の生活を安心したものとするために、少しづつ考え、
始めていきませんか?
☆住環境の問題点と改善点
(1)段差の種類と解消の考え方
1・屋外段差
住宅の屋外で段差がみられる場所は主に門扉周辺から玄関までのアプローチと玄関ポーチ、玄関扉の下枠など
があります。段差解消工事は介護保険制度の住宅改修費支給対象になっています。また、地域によって異なります
が、助成金や融資の利用も可能なため、一定の手続きを踏まえて検討することが必要です。
例)段差部分には手すりを付ける、足元の暗さを防ぐため、アプローチに屋外灯や足元灯を設置することなどが
提案できます。段差を解消する答えとしてスロープにしてしまうことも考えられますが、工事費用は掛かって
しまいます。手すりや足元灯を設置することで、解消できる内容もあるのです。
照明の設置には注意点があります。照明の明暗は影の部分を作り出し、段差と見間違えてしまうことも
あるので、明るさが均一になるように設置することです。
※住宅改修費…住宅介護保険制度の「住宅改修費」として上限で20万円支給されます。自己負担費用もあり
対象の人によりますが、1割~2割です。支給を受ける際は事前に市町村(保険者)の窓口で申請をし、審査を
受ける必要があります。それぞれの状況で内容が異なりますので、弊社にご相談ください。
※助成、融資の利用…助成や融資は各市町村(自治体や団体)ごとに条件が異なりますので、事前に確認する
必要があります。こちらも弊社にご相談ください。
2・屋内段差
☆日本の住宅は建物の構造上多くの段差が生じています。特に浴室では転倒による溺死などの家庭内事故も
多くおきています。今まで気にする必要がなかった段差に、身体機能が低下した人に限らず健康な高齢者も
つまずいたり踏み外して転倒や転落などの事故を起こしているのです。
また、転倒や転落の事故は階段などの段差より、つまずきやよろめきによる同一平面状での転倒のほうが
多いことが分かっています。
住宅の玄関には土足部分と足上部分の間に上がり框(かまち)の段差があります。改善法としては上がり框の
段差には「式台」を設置し、大きな段差を小さく分割することで昇降しやすくします。手すりも一緒につけて
体を支えながら昇降することで、以前より安心して昇降動作ができるようになります。
洋室、和室と廊下の間にも小さな段差があります。数センチの段差でもつまずくことは、年齢に関係なく
発生します。新築住宅ではバリアフリーという、段差のない状態を作り出すことが可能ですが、そうでない住宅はたくさんあります。小さな段差を解消するには低いほうの床を数センチ上げて、段差を少なくするか、段差を
なくす事ができます。しかし低い部分の面積が多いと、床上げの工事費用は条件により高くなってしまいます。
数センチの段差を解消する最も簡単な方法は「擦り付け板」の設置です。これは段差に小さなスロープを設置すると考えていただけるとイメージしやすいと思います。「擦り付け板」には様々な製品が市販されているので、
滑りにくい材質や仕上がりまで選択することができます。
選ぶ際の注意点としては、実際に触れることやサンプルを入手することで、日常生活での使用状況を想像することが大切です。(スリッパなのか、靴下なのか?)一番滑りやすい状況を想定して検討することが望ましいです。
「手すり」「式台」「擦り付け板」その他ちょっとした方法で改善できる商品に関するページも今後充実させて
いきます。
※「式台」…式台は奥行き400㎜以上は必要です。1段ずつ両足を揃えて昇降出来るよう、幅は500㎜以上が
望ましいです。また段差の高さがそれほど高くなければ1段設置し、段差の高さが高ければ2段設置します。
「式台」を据え置きによる簡易な設置方法のほか、ボルト等で固定する方法もあります。
※「擦り付け板」…段差をなくすスロープを作るために取り付けるくさび型の板のことです。
(「擦り付け板」の設置は介護保険制度の住宅改修費の支給対象となります。)
(2)手すりの必要性と種類、取り付け方法
手すりの必要性は健康な若い世代には特に感じられないことかもしれませんが、若い人でも体を壊した時や
年齢を重ね、足腰に自信がなくなってくると、「あったらいいな」と思う人もいるでしょう。
必要ないと思う人も、トイレを済ませた後、無意識にペーパーホルダーに手をかけて立ち上がったり、入浴の
際に蛇口を支えにして浴槽をまたぐなどはありませんか?もし、そうであれば、そこには手すりが必要だと
いうことです。
手すりには安定した歩行を促す、転倒や転落を防ぐ、移乗動作や立ち座り動作の助け手となります。しかし、
適切な場所や位置にしっかり設置しないと、逆に危険で邪魔なものとなってしまうので注意が必要です。
1・横手すり
体の重心が横に移動する廊下や階段、またトイレでの座位保持や浴室洗い場の移動などでは主に横手すりが
用いられます。廊下や階段で使用する際は、握るよりも手を滑らせて使用することが多いので、手すりは
少し太めの直径32㎜~36㎜程度が望ましいです。廊下や階段のほか、門扉から玄関までのアプローチ、
屋外階段にも適応します。
トイレでの座位保知用の横手すりは、便器に座った姿勢を保てるように取り付けます。一般的には便器中心線
から左右に350㎜振り分けた位置に左右対称、同じ高さに取り付けます。スペース等問題がある場合は壁側
でない方は可動式の手すりにする方法もあります。手すりの高さは便座面の高さから220㎜~250㎜程度
上方に取り付けます。
2・縦手すり
移乗動作や立ち座りの補助など、体全体を上下に移動させるトイレや浴室内等では主に縦手すりが用いられます。
この場合は横手すりと違って、しっかりと握って使用するため、握ったときに親指と他の指先が軽く重なる程度
直径28㎜~32㎜横手すりよりも細めにします。トイレ、浴室の他、玄関や洗面・脱衣室等にも適応します。
3・L型手すり・可動式手すり
縦手すりと横手すりを合わせたL型手すりや、使用しないときに折りたためる収納タイプの「可動式手すり」が
あります。スペースや使いやすさなど考慮しながら選ぶことができます。
※「可動式手すり」…跳ね上げ式手すりや回転式手すりは使用するとき以外は折りたたんで収納できます。
車いす使用者にも適している製品です。
手すりの材質は一般に樹脂被覆性が適していると思います。取り付け位置は設置する手すりの種類によって
異なります。廊下や階段で使用する横手すりは一般的に床面から測って750㎜~800㎜程度の高さに平行に
取り付けます。利用者様の大腿骨大転子(だいたいこつだいてんし)大腿骨頸部の目立って高くなっているところ
の高さに合わせるのが良いといわれています。しかし、身体状況によって握らずに、手や肘から先の前腕を
乗せて移動する人もいられるため、必ず利用対象者様の身体状況に合わせて、専門職の方に相談しながら
一番使いやすい高さを決めることが大切です。また浴室に設置する縦・横手すりはいずれも利用者様の入浴の
仕方で異なります。入浴方法、動線(どうせん)手順など、よく確認しながら使い易いように取り付けます。
(3)床材への配慮
屋内での移動で段差解消と同じくらい大切なことは床材選びです。床材を選ぶときは滑りにくいもの、
傷つきにくいもの、水に強いものなどを考慮して選ぶことが大切です。
☆まとめ
ここに挙げた改善法や高さの数字はあくまでも一般的なものです。実際の状況を確認し、どんなことに不自由を
しているのか?感じているのか?またどんな危険が潜んでいるかなどを、生活されている方から直接お聞きし、
相談しながら納得のいく話し合いのもと、進めていきたいです。お客様の身体機能やライフスタイルを最優先に
考慮し、医療・福祉などの専門家の意見を取り入れながら低コストで改善できるようにコーディネート致します。
お客様に寄り添い誠意をもって取り組むことが弊社の目標であります。安心・安全・喜びと希望に溢れた生活の
手助けになれるよう、精一杯努力していきます。