ZEHロードマップ

ZEHロードマップ検討委員会とりまとめより(H27年12月)

民生部門(家庭・業務)において、最終エネルギー消費量が全体の3割を占め、増加しています。
 徹底的な省エネルギーの推進は我が国の課題となっています。
 家庭部門の2011年度のエネルギー消費量は全体の14.2%、業務部門は19.6%。

☆室内外の環境品質を低下することなく、高い断熱性能と高効率設備による可能な限りの省エネルギー
 再生可能エネルギーの導入により、年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ、又は概ねゼロと
 なるZEHを、住宅においては2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均ZEH
 実現を目指す目標を設定しました。

1・ZEHの現状と課題

1-1
・「ZEH」「標準的な新築住宅」の定義が明確になっていない。
・「ZEH」の標準化に向けた取組を推進しているが、ZEHの定義については共通認識として定着していない。
・一層普及させるためには統一的な定義、評価方法が必要である。
一次エネルギー消費量を正味ゼロにする「ZEH」を目指す上で、再生可能エネルギーの導入が不可欠である
 が日射量や太陽光設備を設置する為の屋根面積の問題など、物理的に「ZEH」の実現が困難なケースが
 想定される。

1-2
・「ZEH」の普及を推進する為には最終意思決定者である建物のオーナー(一般消費者)が「ZEH」の存在と
 便益を認知し、理解することが不可欠です。
・「ZEH」のメリット、光熱費削減の効果、高断熱化による快適性、健康性の向上、エネルギー自立化による
 防災、減災性能の向上等の便益を、広告や宣伝により一般消費者の販売意欲を刺激することができていない。
・環境、省エネルギー性能の優れた住宅の支援制度やラベリング制度が数多く存在することから、一般消費者
 にとってはそれらの違いがわかりにくいという問題があります。

2・ZEHの定義、目標に関する検討

2-1「ZEH」とは…(定性的な定義)
(1)外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を
   維持しつつ、大幅な省エネルギーを実現した上で再生可能エネルギーを導入することにより、年間の
   一次エネルギー消費量の収支をゼロとすること。
(2)今後数十年~半世紀に渡り住宅分野における省エネルギーを確保し、優良な住宅ストックを形成する為
   には引渡し後の改善が困難な躯体や外皮については、新築時に高性能なものが導入されることが必要。
(3)現在省エネルギー基準で定められている外皮基準以上の指標がないことを踏まえると、「ZEH」の前提
   としてこの外皮基準を超える外皮性能の指標を定めることが重要。
(4)実際に使用されるエネルギーは居住者の家族構成や年齢、気候当にも大きく影響し、設計段階で予測、
   対応は困難である為、「ZEH」は運用時ではなく、設計時で評価する。

3・ZEHの判断基準(定量的な定義)

3-1「ZEH」
 ①強化外皮基準(1から8地域のH25年省エネルギー基準のηA値、気密、防露性能の確保等の注意事項)
  を満たしたうえでのUA値・・・
  ・1,2地域:0.4(W/㎡K)相当以下。
  ・ 3 地域:0.5(W/㎡K)相当以下。
  ・4~7地域:0.6(W/㎡K)相当以下。
 ②再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上一次エネルギー消費量を削減。
 ③再生可能エネルギーを導入。(容量不問)
 ④再生可能エネルギーを加えて基準一次エネルギー消費量から100%以上一次エネルギー消費量を削減。

3-2「Nearly ZEH」
 ①強化外皮基準(�1から8地域のH25年省エネルギー基準のηA値、気密、防露性能の確保等の注意事項)  を満たしたうえでのUA値・・・  
  ・1,2地域:0.4(W/㎡K)相当以下。  
  ・ 3 地域:0.5(W/㎡K)相当以下。  
  ・4~7地域:0.6(W/㎡K)相当以下。 
 ②再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上一次エネルギー消費量を削減。 
 ③再生可能エネルギーを導入。(容量不問)
 ④再生可能エネルギーを加えて基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満一次エネルギー量を
  削減。

※基準一次エネルギー消費量、設計一次エネルギー消費量の対象は「暖冷房」「換気」「給湯」「照明」とし
 計算方法はH25省エネルギー基準で定められている計算方法に従うものとする。見直しが行われた場合は
 最新のエネルギー基準に準拠した計算方法に従う。
再生可能エネルギー量の対象は敷地内(オンサイト)に限定し、自家消費分に加え売電分も対象に含める。
 エネルギー自立の観点から、余剰電力の買取とし、再生可能エネルギーを貯めて発電以外にも使える
 蓄電池の活用が望まれる。

まとめ

新築戸建住宅の設計時における「ZEH」の普及を中心にとりまとめを行ったが、既築ストックの「ZEH」化
改修に関する取組の検討も不可欠です。