外皮平均熱貫流率

外皮計算の基本

☆住宅の改正省エネルギー基準の構成

外皮平均熱貫流率(UA値・ユーエー値)
冷房期の平均日射熱取得率(ηA値・イータエー値)
         (プラス)
・一次エネルギー消費量の基準(設備の効率性)
    ・暖冷房設備
    ・照明設備
    ・換気設備
    ・給湯設備
         (プラス)
太陽光発電設備

で構成されています。

1・外皮平均熱貫流率について

外皮平均熱貫流率 UA値・・・Uは熱貫流率 Aはアベレージ(平均)
外皮とは、室内と屋外で熱的に境界となる部位を指します。屋根・又は天井・外壁・床等と開口部(窓、ドア)

外皮となる屋根とは…小屋裏(天井裏)が外気に通じていない屋根のこと。
・外皮となる天井とは…小屋裏(天井裏)が外気に通じている天井のこと。
・外皮となる壁とは…外気に接している壁のこと。外壁のことです。
・外皮となる床とは…外気に接している床のこと。(物置や車庫等、外気に接している床のことです。)
・外皮となる土間床とは…外気に接している床、床裏が換気口より外気に通じている床のこと。
・外皮となる開口部とは…外気に接している窓、ドアのこと。

※基礎立上り地盤面から400mmの部分は外気に接していても、外皮としなくてもよい。(除くことができる。)

熱貫流率とは、室内から屋外にどのくらいの熱が移動するかを表す指標です。(断熱性能を表す指標)
 つまり…建物全体の外皮となる部分で、どれくらいの熱が平均で移動したか?ということです。
熱貫流率の値が小さい程、熱の移動が少ない、断熱性能が高いということになります。

☆熱貫流率を求めるには、移動した熱量(熱損失量)を外皮面積で割った値になります。
よって外皮平均熱貫流率を求めるには移動した住宅全体の熱量(住宅全体の熱損失量※1)÷外皮合計面積※2

※1住宅全体の熱損失量とは各部位の熱損失量の合計のことです。
   この値を「単位温度差当たりの外皮熱損失量」(q:スモールキュー)で表します。
※2外皮合計面積とは各部位の外皮の面積の合計のことです。
   各部位の面積を合計した値はΣA(シグマエー)で表します。

計算式1:外皮平均熱貫流率UA=単位温度差当たりの外皮熱損失量q÷外皮合計面積ΣAとなります。

熱貫流率:U(ユー) 単位W/(㎡・K)
          【室内と屋外の温度差を1℃とした時に1㎡の部位を通過する熱量をW(ワット)で表しています。】
     ・部位は複数の材料で構成されています。仕様方法で異なります。
     例)床の場合は断熱材と床下地材との組み合わせた部位になります。

☆1・各部位の熱貫流率、各部位の熱損失量、各部位の外皮面積がわからないと外皮平均熱貫流率を求めること
   ができません。熱貫流率は熱をどれくらい通すか?つまり断熱性能を表す指標とありました。
   この断熱性能の性能値は「部位別仕様表・付録1」に、部位ごとに使用する断熱材の条件を満たしていれば
   その部位での熱貫流率(部位の断熱性能値)を知ることができます。

それでは、部位別仕様表・別表1外壁の部分を見てみます。

部位:外壁
熱貫流率:0.53
仕様の詳細:軸組の間にRが2.2以上の断熱材(厚さ85mm以上)を充填した断熱構造とする場合。

と表記されています。

Rとは熱抵抗値のことです。【単位は㎡・K/W】材料の熱の伝わりにくさを表し、一つの材料において
 厚さに応じて両側の温度差を1℃とした時に、材料の面積1㎡の部分を通過する熱量をW(ワット)で表し、
 この逆数が熱抵抗になります。熱抵抗値が大きい程熱が伝わりにくく断熱性能が高いということです。

熱抵抗の計算式熱抵抗値R【㎡・K/W】=材料の厚さd【m】÷材料の熱伝導率【λ【W/(m/K)】

※λ(ラムダ)とは熱伝導率のことで単位は【W/(m・K)】材料の熱の伝わりやすさを表し、一つの材料において
 厚さが1mで両側の温度差を1℃とした時、材料の面積1㎡の部分を通過する熱量をW(ワット)で表します。
 同じ条件での材料の断熱性能を比較することが出来、値が小さい程、熱が伝わりにくく断熱性能が高い
 ということになります。

 「部位別仕様表・付録3」に材料種別の熱伝導率が表記されてます。
例)石膏ボードの熱伝導率【λ(ラムダ)】は0.22【W/m・K】です。石膏ボードの厚みが9.5mmの場合
  9.5mmをメートルに変換すると0.0095mです。

熱抵抗Rの計算式より・・・R=d/λ R=0.0095/0.22 R=0.043  熱抵抗は0.043【㎡・K/W】となります。

☆文言をまとめます。

熱貫流率U…部位ごと(複数の材料)の断熱性能を表す指標で、この数値が小さい(熱の移動が少ない)ほど
       断熱性能が高い。
熱抵抗値R…1つの材料の熱の伝わりにくさを表す指標で、この値が大きい程熱が伝わりにくく断熱性能が高い。

熱伝導率λ…1つの材料の熱の伝わりやすさを表す指標で、この値が小さい程熱が伝わりにくく断熱性能が高い

各メーカーの断熱材のカタログを見ると、商品の規格のところに様々な情報が記載されております。
密度(Kg/㎥)寸法、そして熱抵抗値R(㎡・K/W)熱伝導率λ(W/m・K)など。商品の知りたい情報が
記載されております。

☆ここまでの情報でようやく熱貫流率Uを導き出す条件がそろいました。
 熱貫流率を求める方法は2つあり「部位別仕様表・別表第1」から熱貫流率を選ぶ方法と、各部位の断面積比に
 応じて計算で求める方法があります。
 ここでは、簡単な「部位別仕様表・別表第1」で求めます。

1・まず部位の部分を見てみます。(屋根は外皮部分がないものとします。)

①天井の部位を見てみます。熱貫流率は0.17と0.24があります。数値が小さいほど断熱性能が高いことから、
 0.17の仕様方法のほうが、断熱性能が良いことがわかります。

熱貫流率0.17の仕様の詳細を見てみます。

・「内装下地材の上面にRが5.7以上の断熱材を敷き込み、かつRが0.043以上の内装下地材を用いた断熱構造と
  する場合」とあります。
※数社のカタログを見てみましたが、1つの商品でR5.7以上の断熱材を見つけることが出来ませんでした。
 おそらく、Rが2.9の断熱材を2枚重ねるか2枚重ねた断熱材のRの合計が5.7以上になれば良いと思います。 

※かつ「Rが0.043以上の内装下地材」とあります。下地材の熱伝導率は「部位別仕様表・付録3」で知ること
 が出来ます。天井の下地材はボードとなりますので、厚さは9.5mmか12.5mmになります。(天井のボードは
 9.5mmが主流です。)熱伝導率λは0.22と表記されています。

・R=d÷λなので、R=0.043、λ=0.22より…0.043=d÷0.22となります。よってd=0.00946となります。
 0.00946はメートルなので、ミリになおすと9.46mmとなります。
・上記計算より、石膏ボードの厚みは9.5mmを使用することにより、条件を満たすことが出来ます。

熱伝導率の数値が小さければ小さいほど断熱性能が高いことから、熱伝導率0.22以下の材料であれば、
 この条件をクリアすることが出来ます。

熱貫流率0.24の仕様の詳細は、「Rが4.0以上」とあります。熱抵抗値Rが4.0以上の商品を選び、9.5mmの
 石膏ボードを使用すればよいことがわかります。

②次に外壁をみてみます。

熱貫流率は0.35,0.53,0.92とあります。仕様の詳細を見てみると0.53が一番簡易的な方法と思われます。

・「軸組の間にRが2.2以上の断熱材(厚さ85mm以上)を充填した断熱構造とする場合」とあります。
※これはカタログですぐに選ぶことが出来ます。

③床も仕様の詳細を参考に条件に合った床組み、断熱材、床下地材を選ぶ事で熱貫流率を求めることが出来ます。

☆これで部位ごとの天井、外壁、床熱貫流率を求めることが出来ました。

上記記載の☆1にありました、「各部位の熱貫流率各部位の熱損失量各部位の外皮面積がわからないと
外皮平均熱貫流率を求めることが出来ない」とありました。
あとは開口部(ドア、窓)になりますが、この部位は後程求めます。理由は次のページで紹介する
冷房期の平均日射熱取得率」を求めるときに使用する言葉が必要で、少し複雑になるからです

2・各部位の熱損失量を求めます。

部位の熱損失量部位の熱貫流率U×部位の面積A×温度差係数Hで求めることが出来ます。
温度差係数Hとは…その部位での温度差による補正係数のことで、決められた数値です。
 床下は外気より温度が高く、熱損失も少ないため、0.7です。それ以外は1.0です。

例)100㎡の外壁の熱損失量を求める。(外壁の熱貫流率は0.53とします。)

 外壁の熱損失量=U×A×Hより…0.53×100×1.0
        =53

例)100㎡の天井の熱損失量を求める。(天井の熱貫流率は0.24とします。)

 天井の熱損失量=U×A×Hより…0.24×100×1.0
        =24

☆このように各部位の熱損失量を求め、その数値の合計が住宅全体の熱損失量となり、この値を
 「単位温度差当たりの外皮熱損失量」q(スモールキュー)といいます。

☆計算式1 外皮平均熱貫流率(UA)=住宅全体の熱損失量(q)÷外皮面積(ΣA)となります。

3・部位ごとの熱貫流率を求めるのに、「部位別仕様表・付録1」を参考に求めることができました。
  そして保留にしていた外皮となる「開口部:ドア、窓」の熱貫流率を求めます。

窓、ドア熱貫流率を求めるには「部位別仕様表・別表7」から選びます。

とは、建具とガラスの組合せになります。建具の材料が木製か?金属製か?ガラスの使用は何か?を
 「部位別仕様表・別表7」を参照し求めていきます。

・よく出てくる言葉を拾い出します。
低放射膜、低放射三層複層ガラス、中空層、ガス封入、遮熱複層ガラス、複層ガラス、単板ガラス

日射取得型、日射遮蔽型、熱線反射ガラス1種、熱線反射ガラス2種、熱線反射ガラス3種
熱線吸収板ガラス2種

この辺の言葉がよく出てきます。カタログで窓を選ぶときには知っておきたいキーワードだと思います。

・次に建具の仕様を見てみます。
①一重構造の建具で木製又はプラスチック製であるもの…熱貫流率1.60~6.51まであります。
②一重構造の建具で木又はプラスチックと金属の複合材料性であるもの…熱貫流率2.15~4.07まであります。
③一重構造の建具で金属製熱遮断構造であるもの…熱貫流率2.91~4.07まであります。
④一重構造の建具で金属製であるもの…熱貫流率3.49~6.51まであります。

熱貫流率の幅はガラスの仕様で異なりますが、建具が木製又はプラスチック製を選定すると熱貫流率
 1.60まで数値を下げることが出来ます。
※逆に金属製の建具を使用すると、どんなにガラスの仕様を良いものにしても、熱貫流率3.49です。
※新築で建具を選ぶときは木製又はプラスチック製のものを選んだほうが断熱性能が良いと思います。

・次に部位が「窓」となっている部分の建具の仕様を見てみます。項目は2つしかありません。
①2重構造の建具で一方の建具が木製又はプラスチック製であり、一方の建具が金属製であるもの。
②2重構造の建具で金属製建具と金属製建具からなり、建具の枠の接合部が熱遮断構造であるもの。

とあります。2つを比較しても②より①のほうが熱貫流率が良いことはわかります。

☆大きく分けて窓を選ぶときの項目がわかりました。次にカタログで商品を参照してみます。

窓について

・複層ガラス…2枚のガラスで中空層を作ったがらす。ガラスとガラスの間に空気を挟むことにより、1枚のガラス
       (単板ガラス)よりも優れた断熱性能をもつ。

・Low-E複層ガラス…複層ガラスの内側に「Low-E(Low-Emissivity=低放射)膜という熱の伝わりを抑える
          特殊な金属膜をコーティングすることで、複層ガラスよりも更に高い断熱性能と
          日射遮蔽性能をもっている。また採光性を損なうことなく、紫外線の透過を防ぐことが
          出来る。E○○.○と小数点第一位までの数字で表記され、このEの数値が大きい程
          紫外線による床や家具の変色が大きいことにつながります。

Low-E複層ガラスには2つのタイプがります。
・断熱しながら太陽の温かさを取り込んで、部屋を暖かくするタイプ…断熱タイプ
・断熱もして、明るさを取り込みながらもガラスにあたる日射熱を遮り室内を涼しく保つタイプ…遮熱タイプ
断熱タイプは「Low-E膜」が室内側にあり、遮熱タイプは「Low-E膜」が室外側にあります。

☆カタログから性能値をみてみます。

・Low-E複層ガラス(遮熱タイプ
1、室内側、室外側のガラスの厚さ(ミリ)が表記されています。
2、光学特性が表記されています。
3、熱的性能部分に「日射取得率(η値)遮蔽係数(sc値)熱貫流率(U)」が表記されています。
4、中空層部分に空気かガス(アルゴンガス)入りかと数値の違いが表記されています。またガス入りのほうが
  熱貫流率(U値)が良いことがわかります。
5、日射遮蔽型があります。

・Low-E複層ガラス(断熱タイプ
上記1から4が表記されています。
日射遮蔽型日射取得型があります。

日射遮蔽型日射取得型について・・・
☆JIS R3106に定めるガラス中央部の日射熱取得率(η値)が0.50以上のものが日射取得型で、0.49以下のものが
 日射遮蔽型とあります。
☆日射熱を取り込まないようにしたい場所は日射遮蔽型、日射熱を取り込みたい場所には日射取得型を選ぶ。
☆建物の方位、庇があるかなど、構造によって選ぶことが出来る。

ドアについて

・「部位別仕様表・別表7」を参照します。
窓と同様で建具の仕様、ガラスの仕様、日射熱取得率熱貫流率でわかれています。

建具の仕様…木製建具で断熱積層構造であるもの。
      高断熱フラッシュ構造で枠が金属製熱遮断構造であるもの。
      木又はプラスチックと金属との接合材料であるもの。
      フラッシュ構造で枠が金属製熱遮断構造であるもの。
      木製扉で枠が金属製であるもの。
      フラッシュ構造扉、ハニカムフラッシュ構造扉、引戸ではフラッシュ構造扉で枠が金属製熱遮断構造
      であるもの。

とあります。ガラスの仕様では窓の仕様で見た内容と同じ言葉です。日射熱取得率熱貫流率はその仕様に合う
数値が表記されてます。

断熱積層構造とは…木製表裏面材の中間に断熱材を密実に充填した構造のこと。
フラッシュ構造とは…金属製表裏面材の中間に断熱材を充填した構造のこと。
高断熱フラッシュ構造とは…金属製表裏面材の中間に断熱材を密実に充填し、辺縁部(扉の周りにある部分)
              を熱遮断構造(断熱性を有する構造)とした戸のうち、戸の厚さ60mm以上。
ハニカムフラッシュ構造とは…金属製表裏面材の中間の密閉空気層を紙製、又は水酸化アルミニウム製の
               仕切り材で細分化した構造のこと。

☆自分が調べたメーカーのカタログには構造については表記されていませんでした。ただ選定した商品が
 木製か金属製かはわかります。そしてその商品の詳細をみてみると断熱材が厚さどれくらいで充填しているか、
 また熱貫流率が表記されています。仕様を見ることで材質などの情報が得られます。

まとめ・・・

以上が「外皮熱貫流率を求める前に知っておかなければいけない、各部位の熱貫流率の求め方」になります。