冷房期の平均日射熱取得率
外皮の基準(断熱性・遮熱性)の冷房期の平均日射熱取得率(ηA値)を求めます。
※冷房期の平均日射熱取得率(ηA値)とは・・・ηはイータ(日射熱取得率)Aはアベレイジ(平均)です。
・この外皮計算の過程で得ることのできる値、q,mc,mhを求めないと、次の段階の一次エネルギー消費量を
求めることができません。
・外皮計算を先にしないといけないということです。
q(キュー)とは・・・外皮平均熱貫流率で説明しました「単位温度差当たりの外皮熱損失量」です。
mc(エムシー)とは・・・「単位日射強度当たりの冷房期の総日射熱取得量」です。
mh(エムエイチ)とは・・・「単位日射強度当たりの暖房機の総日射熱取得量」です。
☆ここで少しまとめます☆
・単位温度差当たりとは、内外の温度差が1度の場合とありました。つまり内外の温度差が1度の場合における
各部位の熱損失量の合計が、「単位温度差当たりの外皮の熱損失量(q)」ということになります。
部位の熱損失量の計算式は、「部位の熱貫流率(U)×部位の面積(A)×温度差係数(H)」※1でした。
・単位日射強度当たりとは、水平面における全天日射量(1W/m2)とありました。全天日射量???
全天日射とは水平面が受ける直達日射と天空散乱日射を合わせた日射であり、単位面積当たり、単位時間に
受ける日射エネルギー量です。細かく調べるとちょっとややこしいので、「住宅の単位面積当たり、単位時間に
受ける太陽の日射量の熱を冷房期間や暖房期間に平均してどれくらい住宅が取得するかの量」と解釈します。
※似たような言葉がたくさんあり、そして計算式があります。とても複雑のように最初は感じるのですが、
大きく分けてこのように覚えました。外皮平均熱貫流率、冷房期の平均日射熱取得率はどちらも「率」です。
この「率」を求めるにあたり、関連する「量」を求めなければいけない、と。
1・熱貫流率を求めるときには、熱損失量を求める。日射熱取得率を求めるときは、日射熱取得量を求める。
2・熱損失量を求める計算式※1があり、日射熱取得量を求める計算式がある。その計算に必要な数値を入れる。
3・この計算を各部位で行って、住宅全体の「量」を求めて、最後に外皮総面積で割る。
★簡単に野球で例えると「打率」は打席(自分の打つ番)が何回あって、何本ヒットを打ったか?で求めます。
例えば10打席チャンスがあって3本ヒットを打つと3÷10で0.3です。打率3割ってことです。
少し細かくすると・・・
1・春の時期に10打席のチャンスがあり2本ヒットを打ちました。
2・夏の時期に15打席のチャンスがあり3本ヒットを打ちました。
3.秋の時期に10打席のチャンスがあり3本ヒットを打ちました。
※この人のシーズン期間の打率はいくつでしょう。
★これを外皮平均熱貫流率に置き換えます。(野球の場合のシーズン期間の打率が外皮平均熱貫流率になります)
1・春の時期を外皮の天井として、10打席が天井の面積、2本のヒットが天井の熱損失量とします。
2・夏の時期を外皮の外壁として、15打席が外壁の面積、3本のヒットが外壁の熱損失量とします。
3・秋の時期を外皮の床として、10打席が床の面積、3本のヒットが床の熱損失量とします。
※この人を住宅に置き換え、シーズン期間の打率を外皮平均熱貫流率に置き換えます。
☆それぞれの時期(部位)のヒット(熱損失量)の合計8本(各部位の熱損失量の合計)を全打席、35打席
(外皮面積の合計)で割ればシーズン打率(外皮平均熱貫流率)を求められます。
☆率を求めるには、それぞれの量(野球の場合はヒットの数)を合計して、対象となるもの(野球の場合は打席)
の合計で割ってでた数字です。
それでは冷房期の平均日射熱取得率(ηA値)を求めていきます。
・冷房期の平均日射熱取得率(ηA値)を求める計算式
ηA=単位日射強度当たりの総日射熱取得量÷外皮総面積×100です。※2
※単位日射強度当たりの総日射熱取得量とは、冷房期における住宅全体の日射により得られる熱量の合計です。
※外皮総面積は、外皮平均熱貫流率で使用した外皮総面積と同じです。
考え方は外皮平均熱貫流率と同じでよいです。外皮に当たる各部位の日射熱取得量を求めます。
1・部位の日射熱取得量を求める計算式
部位の日射熱取得量=部位の日射熱取得率(η)×部位の面積(A)×方位係数(νc)※3
※日射熱取得率(η・イータ)とは、日射熱の室内への侵入を表す指標で、値が小さいと日射遮蔽性能が高い。
※方位係数(vc・ニューシー)とは、日射の影響は地域、方位により異なるため、地域区分、方位ごとに
日射熱取得量を補正するための数値です。
※冷房期と暖房期では方位係数が違います。
2・部位の日射熱取得率(η)を求める計算式(対象部位は天井又は屋根、外壁、ドアです。)
部位の日射熱取得率=部位の熱貫流率(U)×0.034です。
※対象部位における日射熱の侵入の割合は断熱性能により決まるので、断熱性能の指標である「熱貫流率」が
分かれば0.034を掛けることで求めることができます。
※窓はガラスの種類によって日射熱取得率が決まるので、部位別仕様表・別表7で見ます。
※外皮に当たる床は日射の影響を受けないので、求める必要がありません。ただし、外皮総面積には床の面積は
含まれます。
3・窓の日射熱取得率を求めるには・・・
部位別仕様表・別表7より該当するガラスの仕様、建具の仕様に合う数値を探します。
※庇やバルコニーなどが窓に対して影となる場合は、日射熱の侵入が少なくなるため、取得日射量補正係数(fc)
を掛けて補正する。定数0.93を用いる。
・取得日射量補正係数(fc・エフシー・冷房期)とは・・・
庇などの日除け、地表面反射の影響を考慮するために日射熱の侵入割合を補正する数値のこと。冷房期と暖房期
で数値が異なります。
・冷房期の補正係数:fc・エフシー=0.93
・暖房期の補正係数:fh・エフエイチ=0.51です。
4・それぞれの部位(天井又は屋根、外壁、床、ドア、窓)の日射熱取得率がわかれば、次に求めるのは
それぞれの部位の日射熱取得量です。1・の計算式※3でそれぞれの部位の日射熱取得量を求めます。
5・それぞれの部位の日射熱取得量を合計したものが、「単位日射強度当たりの総日射熱取得量」です。
まとめ・・・
☆冷房期の平均日射熱取得率(ηA)=単位日射強度当たりの総日射熱取得量(mc)÷外皮総面積×100※2
なので、数値を当てはめれば求めることができます。
外皮平均熱貫流率、冷房期の平均日射熱取得率を求めたら、次は一次エネルギー消費量を求めます。